2014年4月14日月曜日

寒い夜桜と津軽三味線

世の中さまざまなマニアの方がいらっしゃいます.
「マニア」の響きに,何かと後ろ向きなイメージがつきまとい
ますが・・・

山桜にも見とれた「大井川鉄道」の番外編です.

先月の新潟の夜.思わぬ出会いに恵まれたお話もありました.
そんな出会いを期待した「掛川の寒い夜」について.

サザエさんのテーマ曲が聞こえてくるフロントでチェックインを
済まし,即外出しました.まずは城を目指したのです.
僕は「城マニア」ではないのです!ですがつい最近,仕事仲間の
大先輩が自慢の写真を披露されていました.そんな中の一枚に
碧く浮かぶ「掛川城」の写真がありました.
ホテルから歩いて10分ほど,掛川駅から北に延びる目抜き通り
をまっすぐ進めば程なく碧く浮かぶ掛川城が見えて参りました.
あの夜は寒かったんです,とっても((((>_<)))!!!ご記憶にありません
か?日本列島(どちらかというと西日本)花冷えだった日曜日!
※実はボツボツ日が傾いた頃の帰りのトロッコ列車,冷暖房ナシ
の車内で独りブルブル震えておりました!
ブレが大きい
写真ですので,
アップではご覧
にならないでく
ださい.ライトに
照らし出された
木造の天守閣.
訪ねた日が偶
然,夜間拝観
の最終日だっ
たのです.
天守閣の最上
層で手持ちぶさたの観光ボランティアのおじさんが,手ぐすね
を引いて待っていたかのごとく僕にすり寄ってきました.
「山内一豊が云々,高知城と内装が同じ,平成6年に市民の熱意
で再建された木造の天守閣...」矢継ぎ早に説明が飛び出します.
僕は通過する新幹線室内灯が流れる様を,眼下に眺めながら,
半分くらいは東から西へ聞き流していました・・・(おじさん、ごめんなさい!)

「ところで掛川といえばこれ!っていう食べ物は何ですか?」
と,僕はいま上がってきた石段の麓のほうから聞こえてくる三味線
のメロディにも気を取られながらおじさんに尋ねました.
「それがねぇ~.掛川は海からも離れていて,食べ物には貧しい
土地柄なんだよねぇ...」とため息混じりに答えてくださいました.
「でもねぇお客さん!地元の同好会が今日は津軽三味線のライブ
をやってるから聴いて帰ってくださいな!」僕は会釈をして城特有
の急な階段を降り天守閣の最上層をあとにしたのです.
寒かったぁ~!オリオン座も半月も夜桜も鮮烈でしたが,ともかく
夜風が冷たかった!そんな中,20名ほどの観客に向け懸命に演
奏されている同好会の皆さんを撮影したのが上の1枚です.
スピーカーから響いてくる大音量にはほんのちょっと興ざめでした
が,滅多に耳にすることのない津軽三味線の調べにしばし気分は
青森になりました.スピーカーはない方がよかったんじゃないでしょうか?

「夜桜に 津軽三味線 暖を添え」 一句ひねってみましたょ♪


さぁ,晩ごはんは何を食べましょうか?
昨年宿をとった美濃加茂市ほどは困りはしませんでいたが,掛川
市中心部も例外ではなく,人影もまばら,開いている店もチラホラ.
チェーン店系の居酒屋などには目もくれず,駅前にあった小料理
屋風のお店に飛び込みました.
「うーん」やはり掛川名物はどうもないみたいです.本当は天守閣
のおじさんに「いも汁」なる郷土料理を教わっていましたが,その
お店のメニューには載っていなくて・・・モヒカン頭の板長とカウン
ターにトコロ狭しと並ぶ乙類焼酎の一升瓶越しに対峙.他に客は
なく・・・駿河湾名産「桜エビ」のにぎりを食して早々に退散しました.
「桜エビ」やったら10年くらい前に焼津港の市場を訪ねた際に,
ビールとともに(当時!)頬張った記憶が・・・

気を取り直してもう一軒!同じ駅前でも東側.「消費税値上げは
せずに頑張ってます!」の立て看板に心意気を感じてガラガラ,
と引き戸を開けましたが・・・
あらら,ここもお客さんが1人もいない!つまり話し相手がいない!
おまけに静岡ローカルFM局が店内のBGMで,いきなり杏里の別れ
系の曲が流れた!と思えば知らない女性シンガーが唄う同曲のカ
バーが立て続けに流れ・・・いやいやこうなれば静岡名物!
店内の壁に貼ってあった「静岡(しぞーか)おでん」と「浜松餃子」
を注文.そやそや浜松餃子は,今朝浜松駅ホーム売店でも見かけ
て気になってたし!さぁ・・・!

カメラに収めるのはやめました.
僕個人的にはおでんにイワシ系の粉末をふりかけるのはやめにし
ていただきたかった!ギョーザも,餃子も・・・OH~SHO~!
味はご想像にお任せします.あくまで僕の主観的な感想に過ぎま
せんので.でも,これは全国区となった「富士宮やきそば」を注文
する「気」は正直とっくになくなっていました.
日曜の夜,広い店内に独りポツンと.「慣れない」味付けに動揺を
隠せない中年男の図.

「え」になんないなぁ~

※若い店長曰く「しぞーかおでんっていえばこの味なんですよ!」
ですって.それはそれで全然オッケーなんですョ!


2014年4月13日日曜日

アプト式日本最急勾配!

お昼前にSL急行は大井川鉄道本線終点の千頭駅に到着.
ここから先はトロッコ列車「井川線」に乗り換えます.
ちなみに井川線は千頭~
井川間約25キロ,標高差
368メートルを登り切る,
片道所要約1時間50分の
けっこう乗りごたえのある
路線です.ただし,暖かく
ない季節の利用は決して
おすすめいたしません・・・
沿線の桜はちょうど見頃を迎えていました.今年は地元で
ゆっくり桜見物を楽しまなかったので,ちょうどよかった!
少し始まった桜吹雪とお茶
畑の実に見事なコントラスト
に,しばし見とれましたね!

さぁいよいよ今日のメイン!
千頭から6駅目,写真のア
プトいちしろ駅から次の長島
ダム駅までの約1.5キロが
日本で唯一となったアプト式
鉄道の日本最急勾配区間と
なります.
列車の後ろ(坂の下側)にア
プト式電気機関車を2両連結
しその後押しをうけてぐんぐん
90‰(自動車道の9%!)の
ものすごい急勾配をよじ登っていきました!左の写真でトンネ
ルに通じるその90‰の急坂具合が伝わりますでしょうか!

この大井川鉄道井川線は,
元々中部電力の水力発電
所建設の資材運搬のための
専用線だったのを,大井川
鉄道が借り受けて,こちらも
ほぼ観光客がメインの輸送を
行っています.沿線の線路敷
土地の境界標には「中部電
力」の立て札がありましたので.富山県の黒部峡谷鉄道も有名
な(観光)トロッコ鉄道ですが,
こちらも関西電力の黒四ダムを
建設するための資材運搬の路
線からスタートしていますから,
トロッコ鉄道+ダム建設はセット
なんですね!
※アプト式の解説はWikipedia
ご参照ください.

上の写真はやっとこさたどり着いた終着駅井川駅.この駅には
一日に4本の列車しかやってきません.右に分岐する線路は,
閉鎖されたトンネルに通じており,Google Mapによるとこの先の
中部電力の水力発電所に通じているみたいです.
SL急行に乗っていた頃(下流)の大井川は悠然と流れていました
が,井川線も終着駅に近づくと急峻な渓谷を進む車窓に変貌し,
これも珍しい湖上(ダム湖です)にある駅や,周囲に全く人気のな
い秘境駅,水面からの高さ100メートルの橋を渡ったり,と.
「盲腸線」ゆえに,同じスリルと車窓が行きと帰りで「2度」楽しめる!

そんなローカル線の旅も,たまにはいかがですか?
奥大井湖上駅

【4月6日(日)の行程】
金谷9:01→新金谷9:05 普通電車
新金谷10:38→千頭11:51 SL急行
千頭12:28→井川14:18 トロッコ列車
井川14:49→千頭16:34 トロッコ列車
千頭16:51→金谷18:01 普通電車

けっこう体力勝負な面もありますけど(^_^::)))!

※ちなみに「あゝ碓氷峠」のページでご紹介した旧国鉄最急勾配
だった「横軽」区間も,昭和38年までは「アプト式鉄道」でした.
全線全駅鉄道の旅5東海道JR私鉄1900キロ(小学館)
1990.11.10発行 172~173P.






心も痛んだ大井川鉄道

「盲腸線」といういささか古い言い回しがあります.
終点で他の路線と接続がないため,また同じ線路を引き返す
以外に,旅の方法がない路線のことです.大阪環状線で育った
僕には,少しだけ馴染みが薄いのですが...「支線」とも申します.
大井川鉄道も,越すに越されぬ「大井川」沿いの集落を,のん
びり結ぶローカル線だったのです!
SLの始発駅新金谷駅.予定より1時間早く着いたので,ゆっくり
機関庫まで足を運び,出発前のSLたち「昭和の列車」たちを,
眺めることにしました.

左の電車たち,見覚えがありま
せんか?
昭和30~40年代から大阪から
奈良県吉野,和歌山県高野山を
結んでいた元近鉄・南海電車です.
再会は嬉しかったです!でも・・・
車体の手入れがほとんどなされ
ておらず,傷むにまかせた電車を
目にして,相当心が痛みました.
あと1社.元京阪特急の2両連結
も新金谷駅構内に停まっていまし
たが,写真には撮れませんでした.
この大井川鉄道本線.観光列車
SL急行かわね路が訪ねた春休み
の日曜日は3往復.本線を通して
運転される普通電車は1日わずか
8往復.区間運転1往復に金谷~
新金谷「ひと駅」電車が8往復のみ,
という「地域の足」というよりは観光
客輸送がメインの鉄道なのかもしれ
ないですね.


さて,SL急行かわね路13号は7両の客車にめいっぱいのお客を
乗せて新金谷駅を出発.終点千頭(せんず)駅まで約38キロ,
高低差約230メートルの道のりを73分の時間をかけてゆっくり
のんびり進んでいきます.
僕はSL急行もさることながら,旧型客車と呼ばれる昔の「列車」に
乗っておきたくて大井川までやってきました.昭和50年代まで大阪
駅から福知山線の普通列車として
のんびり走っていた姿をご記憶の
方も多いかと思います.僕は記憶
にあるのは昭和56年に乗った旧型
客車.ドアは手動で,走行中も開閉
可能!さらにはトイレの下に線路が
見えた!のが衝撃的でした.左上の
写真も走行中のデッキから,ドアを
開けて撮った1枚です.
本当は走行中のドア開閉は禁止され
ています.
皆さん,できればマネはなさいません
ように!


さてさて,きわめてゆっくり走るSL急行.平均時速約31キロ.
観光列車とはいえ,天下の大往来「東海道」新幹線&本線から乗り
換えたローカル線ではありますが.SLのスピードが当たり前だった
時代に思いを馳せてみますと・・・その時代の経験がないだけに
どこまで正確に思いを馳せられたかはかは定かではありませんが,
「これはこれで,ええんとちゃうの?」
と,これまたいつものローカル線を乗ったときの感慨にひたることに
なったのでした.

春を訪ねて大井川へ

のっけから私事で恐縮ですが,拙宅最寄り駅から新大阪駅まで,
乗り換えナシの快速電車が一日に1本だけ運転されています.
その電車なら,自宅を6時07分に出て新大阪駅6時27分発の
「ひかり506号」に余裕を持って乗ることができました(^_^)v

この旅(度)の行き先は静岡県西部.
思い立ったのはいつものように旅立つ2日前.1泊朝食付4,600円
のビジネスホテルをネットで予約し,静岡県掛川駅までの新幹線
自由席チケットを8,700円で仕入れ(通常料金9,710円),いざ出発!
浜松で後続のN700系「こだま632号」に乗りかえひと駅.掛川駅で
すぐに在来線東海道本線上り電車に乗りかえ金谷で下車.と,くれ
ば鉄道好きの方には「大井川鉄道」を直感されたことでしょう!
新潮社日本鉄道旅行地図帳「乗りつぶしノート・第2列車」
平成24年7月20日発行 44~45p.より抜粋


















昨年春の一人旅で,岐阜県の現存ローカル線の全線完乗を達成し,
今年はどこまで足をのばそうかと考えたとき,小学生のときから計画
しては頓挫し続けた「大井川鉄道」に白羽の矢?を立てた次第です.
静岡県完乗も思いつきましたが,1泊2泊では収まりそうもありません
でした.伊豆半島がありますからね~,ということで上図の大井川・
天竜浜名湖・遠州・豊橋鉄道にスポットを当てることにした次第です.
静岡県,って東海道新幹線の「のぞみ」は例外なく全て通過しますの
であんまり旅先に選ぶ機会がない,気がします.個人的には.
さて,車窓に茶畑が一面に広がる中,大阪を出て約3時間弱で大井
川鉄道の乗換駅「金谷」に到着しました.ひんやりしたホームに降り
立ち,いきなりウグイスの啼き声のお出迎がありややテンションUP!

さっそく大井川鉄道
金谷駅で,予約して
おいたSLの指定券
と乗車券を買い求め,
SLの始発駅,新金谷
駅まで,ひと駅だけ普
通電車で移動します.